Q.ペット可で貸していますが、退去時に原状回復工事の負担でトラブルになってしまいました。どのような契約条件にすれば良かったのでしょうか?
A.部屋が決まらないから「とりあえずペット可にしよう」という安易な理由で賃貸条件を変更するのはお勧めできません。ペット可にするなら、ペットを飼う入居者さんにもメリットのある設備や条件を整えて、大家さんのリスクを保全する契約条件や書類等も用意して、しっかりと準備してから始めるようにしてください。

ペット専用の敷金を預かる

大家さん側からの契約条件としては、通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かる、というのはいかがでしょうか。たとえば通常敷金が1ヶ月のところ、ペットを飼う場合は敷金2ヶ月という具合です。そして「ペット敷金は建物の明け渡し時に全額を償却する」という条件にするのです。これはペットを飼う入居者さんにとっては少し厳しい条件となりますから、その分、ペット飼育にメリットのある設備を用意して、他の「ペット可物件」とは差別化を図っておくのです。飼育状態が悪くて、故意過失で請求する分がペット敷金を超えたときは、「不足分を借主が負担する」という条項も入れて、契約書に明記しておくのです。そして、契約書とは別に「ペット飼育規則」を作成して、ペットを飼育する上での細かなルールを定めて、ここにも署名捺印をもらってください。この「ペット飼育規則」については、契約書の条項にも「別添のペット飼育規則の内容を充分に理解し、これを順守すること」という一文をいれてワンセットにしておきます。

Q.これで裁判になっても大丈夫ですか?

A.裁判で「絶対に勝てる」という保証は残念ながらありません。もし裁判となれば、消費者契約法による違法性を争う訴訟となるはずです。もともと借主は消費者であり、賃貸借契約条項などについて知識が不足しています。そのことを前提にして、募集から入居受付、条件の説明と交渉、契約締結という流れを作り、借主に正確に理解してもらった(知らないとは言わせない)という証拠の書類を作ることです。そのためには、募集条件は「ペット可」ではなく「ペット飼育相談」としておきます。一般的には「ペット可」ではないけれど、申込者からの要望によって「ペット飼育を条件付きで認める」という経緯です。通常は許可されていないペット飼育を認めるのですから、原状回復の負担でトラブルになることが予想されるので、それをお互いが避けるために定めた敷金特約、という捉え方です。借主がペット飼育を要望しなければ不要な特約ですし、この特約に不満ならばペットを飼わない、という選択権が借主にあります。そこまで説明した上で、ペットを飼うことを選択して署名捺印したのですから、「消費者だから知らなかった」とは言えない、という主張です。

しかし、大切なのは、裁判の結果を心配するよりも、裁判に訴えられるような気持ちを起こさせないことです。ペットとペットを飼う入居者さんにとって快適な住空間が提供できていれば、トラブルも防げますし、長く住んでいただけるはずです。ただし、色々な人がいてトラブルが避けられない事もありますから、契約説明の経緯を「お互いの後日のために」と言って録音しておくのも、退去後に裁判を起こす抑止効果が高いのでは、と思っております。