Q.私は新築して13年になりますが「修繕計画」を立てたことがありません。これは本当に必要なのですか?修繕計画について教えてください。

A.長期修繕計画は賃貸経営にとって重要な準備です。建物や設備は30年程度の間に、修理や交換や塗装や防水といった修繕を適切に行わないとトラブルを起こす可能性があります。修繕計画とは、その時期と費用を予定して集計したものです。30年間で必要な修繕費用がわかれば、大家さんは貯蓄や積立保険という方法で備えることができます。そして計画に基づいて修繕工事を行うことで、水漏れ等の水回り事故や、設備が使用できずに生活に支障をきたすような緊急事態を防ぐことができるのです。

区分所有マンションでは所有者から「修繕積立金」を徴収しますが、これは修繕計画によって算出された費用を集めて備えておくものです。こちらは区分所有者全員で負担するので一人当たりの額は大きくありませんが、大家さんは一人で負担しなければなりません。でもこれは、建物設備から収入を得る貸家業にとっては必要な投資なのです。

どのくらいの費用が必要になりますか?

30年間で必要となる費用をもとめた、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)の資料がありますので、この数字を用いて計算してみました。「RC造1K10戸」の建物の場合で最初の10年間にかかる修繕費用は約60万円となっています。(表を参照ください)

【RC造1K 10戸 建築費5,000万円】

経過年数 修繕費用 全体の割合
0年~10年 60万 4%
11年~20年 578万 36%
21年~30年 975万 60%
合計 1,613万  

新築から10年間はあまり費用がかかりませんが、10年を超えてからの10年間で578万円が必要になります。そして20年を超えてからの10年間は975万円の修繕費用がかかると試算されています。30年合計で1,613万円です。このRC造10戸の建築面積が250㎡として建築費を㎡で単価20万円と想定すると建物価格は5,000万円となります。1,613万円ということは、この建築価格の32%が30年間の修繕費用として準備しておく必要があるということになります。1,613万円を360ヶ月で割ると45,000円になりますから、毎月家賃収入の中から45,000円を備えに回しておかなければ将来の修繕計画に困るということになります。修繕計画を立てることによって、この実態が分かるので「備えよう」という意識が高まるはずです。

ただしこの修繕には「グレードアップ工事」は含まれておりません。この工事の目的は新築時の状態に戻すことです。30年の間には新築時には無かった設備を付け加えたり、機能の高い設備に交換したり、間取りを変更するという「グレードアップ工事」が必要になりますが、その費用は含まれておりません。

随分とかかるのですね。

賃貸経営は、建物と設備を借主に貸して対価を受け取る商売なので、施設の維持や運営に費用がかかるのは当然とお考え下さい。建てれば「あとで家賃が入ってくるだけ」という認識は正しくありません。ただ、長期で必要になる費用を知った上で、募集計画や修繕計画や資金計画をしっかりと立てれば、必要な手当てを適切な時期に実施できますので、余分な費用負担を防ぐことができます。

賃貸経営は、賃料等が多く入る築10年前後は修繕費用がかからないのに、築20年30年と経って収入が減りだしたときに多額の費用がかかるという宿命を持っています。修繕に必要になる費用を知って、資金計画と修繕計画をしっかりと立てて下さい。